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きっかけ |
交通事故損傷
12年前飲酒による居眠り運転で自損事故、頭部をフロントに打ちつけ重傷で病院に運ばれる。病院の診断で脳挫傷、前頭部骨折、鼻骨骨折、嗅神経損傷、左脛骨骨折、頸椎捻挫と診断される。開頭手術を3回、左下腿部肢骨骨折手術を2回行う。主症状は頸椎伸展痛、左廻旋痛、左腰部?下肢全体(足底まで)のしびれと膝までの坐骨神経痛のため仕事ができない。また2年前にも追突事故にあい再負傷する。 |
所見 |
左母趾中足足根関節の固着
初めて来院されて書かれた問診表をみた時に、正直、治療をしても無理ではないかと思った。理由は頭蓋の手術がすさまじかったからである。
しかし、自分の力と可能性、そしてオステオパシーの哲学を信じ、患者の身体が訴える声に神経を集中することから始めた。
この関節の固着が筋膜を伝わって横隔膜の左側をひっぱり、それによる横隔膜の捻じれが横隔膜を通過する器官や縦隔に影響を出し、頸椎まで繋がっていた。 |
更に |
胸椎のねじれを確認
横隔膜の捻じれが先か、胸椎の捻じれが先かは不明であるが。2つの問題の関連性を確認。
横隔膜の捻じれと機能低下を確認
横隔膜の捻じれは縦隔から頸椎に筋膜を通じて伝わり、また横隔膜を通過する大動脈に対しても圧迫を加えていた。
脾臓の固着を確認
これにより横隔膜の左側を下方にひっぱっており、その力は腸間膜根にも及んでいた。 |
治療法 |
脾臓に対して、
・内臓マニュピレーション
内臓マニュピュレーションを行い、脾臓の働きと位置を正常化させることで横隔膜の緊張を軽減する。
胸椎に対して、
・関節インダイレクトテクニック
胸椎に対してインダイレクトテクニックを行なうことで関節機能の正常化と横隔膜の弛緩を行う。
治療は5ヶ所の患部を上記テクニックを使って治療し、1回の治療で劇的な改善をみる。 |
解説 |
手術の概往がない一般的なムチウチはそんなに難しくはないが、何度も手術を行っているこの様な患者の場合は比較的難しいことが多い。すべての患者が今回のように1回の治療で大きく改善するとは限らない。 |